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とき低圧となる。このとき吸排気弁がともに開いていれば過給機のコンプレッサにより圧縮された吸気管内の空気は、排気管内より高圧であるので吸気弁、ピストン頂部間隙および排気弁を通り抜けて排気管内に流入する。この際完全な掃気と、燃焼室周辺の冷却が行われる。この後で排気弁が閉じシリンダ内は加圧された空気で充満される。
このように、動圧過給方式では、排気管内を流れる排気の憤性を利用して掃気し、そのあと排気タービン過給機で加圧空気を押し込むものであるから、吸排気弁のオーバーラップを2・143図に示すように大きくしている。

 

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2・143図 排気タービン過給機関と無過給機関の弁とリフトの関係

(ハ)排気タービン過給機の特徴
(a)特長
?機関の小形軽量化ができる
同一出力の無過給機関に比べて過給機関は、軽量小形となり機関室が小さくでき、船の積載量が増加できる。同重量の機関では過給により出力が増加し船速が増す。
?馬力あたりの製作費が安い
機関が小形軽量化できるため、製作費も安くなる。
?機械効率の向上ができる
機関の摩擦損失馬力は、機関の大きさ、回転数による影響が強く、また回転数が一定の場合、平均有効圧力の大小によってはまったく変らない。従って過給機付の場合は、平均有効圧力が上昇し、有効仕事量も増加するが摩擦損失は余り変化しないので機械効率が向上する。
?馬力あたりの燃料消費量が少ない
機械効率の向上に伴い、燃料消費率を無過給機関に比較して2〜10%向上することができる。
?過給機の駆動に軸出力を使用しない

 

 

 

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